!このお話は女同士の恋愛です!
ポケモン界の性別不明キャラにして愛すべきネコミミ幹部のサターンが、ポケモンスマッシュ!という番組内において女性キャラだと発表されたときは衝撃でしたね。でも逆に興奮もしましたよね?
サターンファンの間では論争が起こり、性別:サターンということで落ち着きましたがこの話は【もしもサターンが女性だったら】を元に書いてあります。もう管理人はなんでもいけるということを隠そうともしていませんね。
管理人の特殊性癖に付き合いきれねえというお嬢様はそっとこの窓を消すことをお勧めします。



「事実としての事柄は今は置いておくとして、実際問題サターン様の性別というのは今まで議論がなされてきた問題であり永遠の謎といってもいいものであったのです。議論の末意見が分かれ今となっては各々で自分にとって好ましい事実を頭の中に作り上げ、むしろ性別:サターン様というような暗黙の了解といえるいようなものまで出るようになりました。つまりはサターン様が男性であっても女性であってもどちらでも受け入れる覚悟があるということに他ならなく、そこまでの境地に至った私からすればむしろ貧乳というのはステータスでありなんの欠点でもなくむしろ所謂一つの萌え要素として機能するので全然気にする必要はないといいますか私はむしろそのほうがサターン様らしくっていいと思います!!!」
「それは遺言か何かか?」

 絶対零度ってこういうことを言うんだろうか! 研究に必要な書類を運んでいる途中で廊下の角でサターン様とぶつかり押し倒してしまうという良くあるパターンのラッキースケベを発動してしまった私はサターン様の胸の部分に手を置いてしまい予想していなかった柔らかさに頭が混乱してしまいその手を離さないままむしろじっくりと味わうようにして手を動かしてしまい混乱を極めた私はなんとかサターン様の怒りを買わないようにと言葉を選んだつもりだったけれども自分の意思と実際に出る言葉というのはこうも乖離してしまうものなのか、見事に誤爆をしてしまい私はサターン様に下から思い切り睨まれるという滅多にない経験をしてしまったのだった。

 わ、私は悪く、ない! これは事故なんだ! こういったことはこちらが悪いと認めてしまった瞬間に上下関係が確定してしまい、それが今後ずっと続くと予想がされるのだ! だから大事なのは最初に折れないことであり、想像以上に柔らかかったことに感動をいやむしろ触ってしまった時のサターン様の反応が初々しすぎて同性なのにうっかり興奮いやいや揉んでいる時に聞こえるか聞こえないかのレベルだけれども確かに小さな声で「んっ」とサターン様が言ったのを聞いてしまい可愛いというか身もだえたというか潤ってしまったと言うか。

 土下座をしました。

 やっぱり大事なのは誠心誠意謝ることだよね! 私の土下座スタイルはとても様になっているともっぱらのうわさなのだ! この流れるようなフォルム、一種の芸術だとまで言われたことがある。いやいやいや、勘違いしないでほしいなそこまで土下座をしなれているなんてことなんかじゃないですから! 本当だから!

 ちらりと頭をあげてサターン様を見ると、なんだか忌々しそうと言えばいいのだろうかしかし少し顔が赤いような気がしなくもないそんな複雑そうな表情で少しばかり乱れてしまった服を正しながら私を見ていて私はそんなサターン様の恥じらいにも似た行動に開いた口がふさがらないと言うか簡単に言うならばガン見してしまい、早々に気持ちを切り替えたサターン様が散らばった書類を拾い集めながら「何をしている、お前も拾え」と声をかけてくださるまで私はまるでかなしばりにでもあったかのように微動だにしなかった。


 まあ〜私も最初からサターン様に心酔していたというわけではないのだけれども、今ではもう人生をささげたくなるほどドップリとはまってしまったといいますか。理由はサターン様とぶつかったあの時、ゆっくりとサターン様の胸を揉みしだいてしまったあの時ね、今まで毅然としていたサターン様の今まで見たことのない表情を見てしまったのが契機と言うか、ギャップにやられたというか。今まで遠くにしか感じていなかった人を急に身近に感じてしまったと言えばいいのでしょうか。
 簡潔に言うと今現在私はサターン様に命を捧げていいほどメロメロリンです。ああっサターン様にあかいいとが効けば! 私とサターン様は! 相思! 相愛!! なのにい!!!! とふざけながら思っていた時期が私にもありました。





「んっ? ん、んんー……」
「何をしているんだ?」

 資料に数字を記入しながらプルート様にもらった飴を口で転がしていると、後ろからサターン様が声をかけてきてくださって私は顔面に笑みを張りつかせて振り向いた。以前にジュピター様にたいした忠犬ぶりね、と褒めていただいた私の条件反射である。
 私が変な声で唸っていたからその理由を知りたかったのだろうサターン様に私は自分の口をトントンと叩く様にして見せて、れ、と舌に飴玉が乗っているのを見せつける。貰ったはいいものの、先ほど口に含んでその味に驚いたのだ。乗り出すようにしてそれを見に来たサターン様の腕を私は捕まえて、逃げられる前に唇を塞いだ。驚いて突っぱねられる前に口の中にあった飴玉をサターン様の口内へと押し込む。そして離れた私に文句を言うよりも先に、サターン様はその何とも言えないような味の飴に顔をしかめた。

「っ、んぅっ?」
「……なんだかこれ土の味がしません?」
「お前、誰が来るかも分からない場所で……!」
「この時間はだれも来ないことは把握済みですって!」

 サターン様もそれを知ってるから今の時間ここに来たんですよね? ね? と言うとサターン様はなんだかバツが悪そうな表情で少しだけ赤くなった顔を隠すように顔を背けた。これは図星っていう合図。嘘を付けない実直なサターン様ペロペロ。と私が思ってるなんて夢にも思ってないだろう表情でサターン様は最初の用件を思い出したかのように「この不快な味のものはなんだ」とティッシュに先ほどの飴玉を吐き出した。

「プルート様からもらったものです。信じられないくらい不味いですよね。不味過ぎて逆に感動しますよね」
「もうあの男にもらったものは口にするなよ」

 はあい、と私は物分かりよく返事をした。サターン様、プルート様のことあんまりよく思ってないみたいなので言うことを聞いておいた方がいいだろう。また変な味のもの貰っても困るし。


 最初はサターン様に対するこの気持ち、少し過激な憧れや陶酔だと思っていたのだけれども寝ても覚めてもサターン様のことを考える日々に悩まされることとなり、サターン様のあの柔らかさを思い出すだけで私の心臓は乙女のようにきゅんと苦しく締め付けられ、初期のころの冗談のようにサターン様に対して情欲を抱いていたとか考えてたことが本当になって私は自分の性癖に驚いたのと同時に泣きそうなほどの恋しさに死にたくなった。
 しかし志半ばで恋煩いで息絶えるというのも文学作品で見たら美しい物語だとしても、実際にやってしまうとただの行動力の無いヘタレの哀れな末期にしかならないものであり、なんというか私は玉砕する覚悟でサターン様に告白をして、当然のように冗談と取られ一蹴され、撃沈し、また復活して捨て身タックル、ということを何度かループさせていた。
 そして何度目かの告白でようやく私が本気だということを悟ったサターン様は、不思議な生き物を見るような目で私を見て問いかけてきた。

「以前お前は私の性別のことを言っていたな。確かに私はこの外見もあって、女だと見た目で侮られることは少なかった。お前は私がこういった姿の女だから惹かれたのか?」

 サターン様の言葉を頭の端で捉えながらも、私は考えた。でも良い言葉を見つけることはできなくって、取り繕うことはやめて正直な気持ちを吐き出すことにした。

「男でも、女でも、それがサターン様であるならば、きっと私は好きになります」

 迷惑に思っているだとうと考えてこの気持ちを諦めようとしたこともある。でも、それでも諦めてしまうにはこの想いは強すぎた。どうしてここまで放置してしまったんだ、と医者ならば匙を投げてしまうレベルにまで到達してしまっていた。
 私の言葉にサターン様は眉をひそめたが、私は構わずに続けた。

「今回はたまたまサターン様が女性だっただけで、私の気持ちは変わりません。私は、……サターン様の生き様に恋い焦がれたんです」

 だけど流石に今回断られてしまったらもう迷惑はかけないつもりだった。諦めることはできなくても、心の奥底に封印することは出来るはずだ。出来なかったとしても、迷惑をかけることはしない。そう決めていた。

「……分かった、お前の申し出を受け入れよう」

 まるで死刑判決を待つ囚人のような気持ちでサターン様の言葉を待っていると、そんな言葉が聞こえてきて私は今耳に入ってきて脳が処理した言葉を反芻させた。”わかったおまえのもうしでをうけいれよう”? それはなんという意味の言葉なんだろうか。

「何故呆けているんだ、馬鹿者。まさか私に二度同じことを言わせる気なのか」





 サターン様の薄いのにちゃんと柔らかくって女の子をしている胸とか、服の所為で見た目ではわからないけれどしっかりとしたくびれのある柳腰とか、小さくって形のいいお尻とか、以前までは知り得なかったことを少しずつ知っていくのは嬉しくって幸せで、ああ私この人に恋をしているって実感する。

 サターン様も、最初の内はこういった感情を持つこと自体が不慣れなようで、私が心臓を破裂させそうになりながらなにかを仕掛けたときは驚いたり怒ったり照れたり、そんな表情も出来たんですね眼福です本当にありがとうございました。と拝みたくなる反応を見せて下ったりしていたけれど、だんだんと私に絆されてきたのもあってやはりサターン様は順応力は半端なく高いし、幹部という立場上も一研究員の下っ端である私にいいようにされるという状況も不本意だったのかたまに反撃してきたりして私は嬉し7:恥ずかし3みたいな感じで日々を送っていた。

「甘いものは苦手だけど疲れた時は糖分補給として摂取している。実はコーヒーもあまり好きではない」
「ストレス発散方法は買い物での散財。作られた概念のように思えて女の子らしさという言葉が嫌いだ」

 お互いの他の人にはあまり知られていないところをどれだけ知っているかというお題で言い合って、自分から言い出したにも関わらず私はなんだか照れ照れしてしまった。そんな私を見てサターン様はにやりと笑って、情けないなとでも言わんばかりに私の頭を撫でてきた。私はあー、とかうー、とか言いながらされっぱなしのままになる。
 計画が佳境に入って、二人きりで会える時間というものは減ったけれどもその分短い時間でも濃厚に過ごしているお陰かあまり寂しいとは思わない。というのは嘘だ。どんなときだってふとした瞬間に私はサターン様の姿を探してしまうし、アカギ様の隣で立っている姿を見るだけで心臓が高鳴ってしまう。本当はもっと近くに感じたいし、ずっとずっとこのまま一緒にいたい。

 でも私たちはこの物語では悪役ってポジションで、この幸せは長くは続かないのかもしれない、と思っていた。そしてこういった予想というのは当たるものだ。





 アカギ様が消えて
 プルート様が逮捕されて
 マーズ様もジュピター様もいなくなって

 つわものどもがゆめのあと、という言葉がぴったりと当てはまってしまうようになってしまったギンガ団だけれども、サターン様は残った団員たちをなんとかまとめ上げて烏合の衆にはならないようにしてくださっている。そして理念も信念も失ってしまった団員たちに新しい道を示す役割も併せ持っている。でもサターン様が疲れているように溜息を吐くたびに、私の中では不安が渦巻く。私はサターン様を支えられていないのかもしれない。ギンガ団が、私の存在がこの人にとって重荷になってるのかもしれない。
 何時の日かマーズ様みたいに、アカギ様を探しに旅立ってしまうのかもしれない。それがサターン様にとっての一番の幸せなのだとしたら。誰よりもアカギ様を信じて近くに居続けた人だから。私はそんなサターン様が好きだったから。

「うっ。うぐっ、うえええっ」

 行き成り泣きだした私にサターン様は目を開いて驚いて、それを見て私はサターン様の驚いた顔も好きですとかわけのわからないことを考えていて、どうしたんだ、と私の背中をさすりながら聞いてくるサターン様の優しさに甘えたいけど、でもサターン様はサターン様の好きな道を選ぶべきで、私がその足を引っ張ってはいけないんだって思って私はひぐひぐ言いながらもそのことを告げる。

「……お前が何を言っているのか分からない」
「だ、だってサターン様は、アカギ様がいるから、ここに意味を持ったはずで、アカギ様がいなくなった今ここに未練なんてっ、うええええんっ」

 自分でも何を言っているのか分からない。私の中ではしっかりとした理論があって、それに基づいたらサターン様はここを出て行った方が幸せになれて、そのはずなのに私は馬鹿みたいなことしか言えない。違う、本当は分かっているのだ。私は私が少しでも傷付かないために予防線を張ったに過ぎない。サターン様に不要なものとして切り捨てられてしまう前に、可能性としての選択肢を私が与えることで完全なサターン様の意思での選択というのを消したのだ。
 しかしサターン様はそんな私の醜い心の動きなど知らないとでも言うように私の言葉をきっぱりと切り捨ててしまう。

「あの人が望んだのはヒトが心を持たない世界、私はそんな世界は嫌だ。お前という人間を愛してしまった今、何も変わらず、傷付くこともなく、喜ぶこともできない世界など想像出来るはずもない。……私はあの人が行ってしまったのを見た時から、自分が今後どんな道を選ぶかを決めていた」
「ううっ、うぐ、」
「私はお前たち部下を見捨てるつもりはないし、お前個人も手放してやる気はないぞ」

 乱れた髪を耳に掛けられて、うなじを撫でられる。可愛い音を立ててサターン様は私の頬にキスをして離れた。どうしてそんなに優しいんですか、どうして何時まで経ってもそんなに眩しいんですか。私はまたしても顔面を涙やら鼻水やらでぐちゃぐちゃにしてサターン様に抱きつく。私から離れられるチャンスなんてもうないですよ、今のが最初で最後ですよ、こんな変な女ですけどいいんですか、サターン様の言葉が死ぬほどうれしいです。いろんな感情が私の中に満ちて、でも言葉にして出てきたのは単純で、当たり前の言葉だった。

「うっうええええんっ、あ、あいじでまずうううう」
「たくさんやることはあるが、まずは、その汚い顔を拭くところから始めるか」

 そう言ったサターン様の、馬鹿な子を見つめるような慈愛顔、私はあなたのそういうところが大好きなんです。

永遠を捧げる時間がない
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