C'est le soir nuit apres
nuit que je me suis anime!



「こちらへ来てくださいませ」
「はい」
「手を握ってください」
「うん」
「抱き締めてください」
「ん」
「キスをしてください」
「目を閉じて」

 触れるだけのキスをしてから離れて顔を見ると、閉じてと言ったのに目を開けていたのか目が合った。何故か呆けている様子で目の前で手を振ってみるとはっとしたように瞬きをして、口元を押さえて俯いてしまう。それでも身長はノボリのほうが高いのであまり隠せていなく、真っ赤になった顔を間近で目撃してしまった。

「真っ赤なんですけど……」
「わかっております!」

 意外とというか見た目通りというか、こういったことに対しての免疫があまりなく手を繋ぐことにすらなにかしらの理由をつけなければ踏み出せないこの男があのようなことを言い出したのには何かのっぴきならない理由があるのだろうか。と思いつつも内心ヨッシャとガッツポーズで唇を奪ったのはやっぱりウブなこの男を可愛いと思いつつも物足りないと思ってたから。

 痴女? いやいや愛ゆえに。
 ――ノボリの反応を見ながら、もう少しゆっくりと味わっておけばよかったな。そう思う程度の愛である。

「いや、でも急にどうしたの。こんなことを要求してくるのって、なんだか新鮮すぎるよ」

 こちらとしては良い思いをさせていただきましたけれど。と思ってはいても口には出さない。

「クダリが……」
「うんうんクダリが」
「たまには様に対して主導権を握ってみろと言いまして」
「ほおぉ主導権を」
「とりあえず最初は言うことを聞かせるのが一番だと聞きましたので、様に不躾なお願いをいたしました」

 不躾? いやむしろウェルカム。と口に出そうとして止めておいた。一応まだ少しは猫を被っているので自分から暴露することもあるまい。まあ追々ね。最近は歯止めが利かなくなってきているけどね。

「どこまで許されるのか分からず徐々に難易度を高くしていったのですが、まさか本当にしていただけるとは思わず。……試すような真似をしてしまい申し訳ありません」

 とりあえず話は分かったのですばやく足払いをかけて目の前の男を押し倒した。身長差があると腕の力だけではなかなか押し倒させてくれないというのは既に経験済みだったのでここへきて新技の発揮である。私は成長をする女なのだ。少しずつベッドへと誘導していたので痛い思いはさせていないはずだ。
 許していただけますでしょうか? と生まれたてのイーブイを連想させるような表情で言われたからにはもう居ても立ってもいられなくなった。行き成りのことに反応しきれずに尻からベッドへと倒れて体勢を立て直す前に私に押さえ付けられたものだからノボリはぽかんとした様子で私を見上げる。ああその顔堪らない。

「私はどこまでも許しますよ」

 ウブな生娘のようにあたふたと私の下で真っ赤になりながら口をパクパクとさせているノボリの耳元でそう囁けば、とろんとした目で見つめ返される。
 ――たちの関係はなんだか見ていてハラハラするよ。というのはクダリの言葉だ。返す言葉もない。だがしかしあの白い男の様子を見るに兄を心配しているのか面白がっているのか分からない節があるので、ノボリには後でクダリの助言(甘言、と言った方がいいのだろう)は話半分で聞いておくように言っておかなければ。





「ぼくとしてはね、顔がおんなじな兄が悪い女に調教されていくのを見るのはつらいものがあるんだ」

 いやしかし調教ときたものだ。ぽけーとしているようで結構言うのだよこの男。

「へえ。何時の間にサブウェイマスター様の片割れはそんな女に捕まったのかしらね」
「ほんとうだよ。油断も隙もないよね」

 とりあえず今日のところは勝利させていただきました。言葉の節々に刺々しさを感じるのは負けたからだけという理由ではないだろう。
 昨日は目の前の白い男、クダリのお陰で中々に濃厚な時間が過ごせたけれども、あまりノボリに変なことを吹き込まれてはたまらないので今日は挨拶に来たのである。まあ私がわざわざダブルトレインに乗らなくても、今日ホームで見つかってすぐにダブルトレインへと引っ張られて21連勝しないと帰さないからね! と車両の中に投げ入れられたのであちらも私に会う予定ではあったらしい。

「どこかの弟がなんと言おうともスタンスを変えるつもりなんてないわよ」

 私たちは私たちなりに関係を築いているのだ。これは決して一方通行な気持ちではない。まあノボリが押しに弱かったり駆け引きが下手だったりに付け込んで良い思いをさせてもらっていることは確かだけれども私だってノボリの嫌がることはしないしなんだかんだで日々刺激のある付き合いをしている。
 ノボリとクダリとはまあまあの付き合いがあるけれども、クダリが私たちのことに口を出すのはやっぱり兄を取られてさびしいのか。うーんそれなりにクダリとも仲が良かったと思っていただけにあまり嫌われたくはなかったのだけれども。

 軽くジャブを打ち合っている内にホームに着いたので二人一緒に降りる。私は今日はここまでで帰るつもりだったがクダリもどうやら帰る時間らしい。時計を見ると閉館時間までもう少しだ。距離を取るかどうか迷っていたら腕を掴まれて引っ張っていかれる。え、なに今日この男強引なんだけど。
 そんなこんなであれよあれよと言う間に関係者以外立ち入り禁止区域へと引きずられていった私はなんだかあれこれって危険じゃね? とまさかのリンチの危機にさらされて若干焦る。いやでも流石にそこまではすまい、とかぶりを振るが正直に言ってクダリは何をするか未知数だ。大事な兄に手を付けたおとしまえはちゃんととってもらうからね! と6Vのポケモンたちに囲まれないとも限らない。

「ここ入って」

 なんだろうデジャヴ。ダブルトレインに乗る時に感じた浮遊感というか、再びクダリは私を投げるようにして一つの部屋に放り込んだ。続いて入って来たクダリが電気を付ける。周りを見ると積み上げられた段ボールやら備品やら、どうやら倉庫のようなところらしい。うん、もしかしなくても私ピンチなの?

「こんなところに連れてきてどうするつもりよ。いやらしいことするならノボリに許可を取ってね」

 まあ許可が下りたからと言って好き勝手させる私ではないが。というかノボリがそんな許可を出すわけがないから有り得ない前提ではあるんだけれども。
 唯一の出口はクダリの背中でここは密室。けっこう奥まったところにあって人が来そうにないということはここまでの道のりで分かっている。これなんてホラー? 正直プレッシャーに負けそうではある。なんで無駄にラスボスの風格を持っているんだろうこの男。

「ねえノボリとはどこまでしたの?」

 人の恋バナを聞いてくるラスボスには初めて出会ったなあ。というか最低だ。主に下世話な方に。

「な、なんでよ」

 そりゃ流石に私だってちょっぴりどもってしまう。

「ノボリ、びっくりするほど奥手」
「ええ、まあ……」
「でも飢えてるの前にいて無事なはずがない」
「人を色情魔みたいに言わないでよ!」

 確かにどちらかと言えば私は肉食系でノボリは草食系だけれども! そんなに簡単にもぐもぐなんてしてないんだから! 順を追ってる最中なの!!

「え、キスはしてるでしょ?」
「してるけども」

 言った瞬間ギラリとクダリの瞳が光って私の腕を取って自分の方へと引き寄せた。笑ってない! 目が! 表情は笑ってるのに!!!! 目に見える情報と感じる雰囲気のちぐはぐさに私の恐怖心はぐんぐん上昇中である。
 怖い。割と本気で! この双子割とヤンデレになったらはまるんだろうなあと思ってたけれども実物を拝みたくは無かった! もしかして藪蛇だったか? と思わなくもないがしかし交際中の男性との進行状況をその弟に言ったからと言ってここまでされる筋合いはないはずだ! ブラコンでもない限り!

「…………。……っ!? んんっ!!!?」

 私はブラコンの力を甘く見ていた。それに気付いたのはハイライトの無いクダリの目が何故かものすごく近くにあることを自覚してからだ。結構反応が遅れてしまったのは許してほしい。殴られるとばかり思ってた私を襲ったのは鈍い痛みではなくやわらかな感触。唇に。殴られた方がマシだった。
 なんとか離れようとするが片腕を塞がれガッチリと頭をホールドされているこの状態は想像以上に身動きが取れない。というか力が強くて非常に腕が痛い。なんとか逃れようともがくが私の抵抗は抵抗の内に入らないと言わんばかり、というか逆効果になってしまったのかもしれない、更に深くへ潜り込もうとクダリの舌が私の硬く結ばれている唇をこじ開けようとしたところで私は足の存在を思いだした。

「いたっ!」

 向こう脛を思い切り蹴られて怯まない人間はいない。力が緩んだ隙をついて掴まれていた手を振りほどいて一気に距離を取った。乱暴に口を拭う。

が蹴った!」
「蹴りもするわ!!」

 あまりにも痛かったのか涙目で睨まれる。いやまあそりゃあ手加減なしで勢い付けたけど。しかしそれをされて然るべき行為をこの男は私にしたわけで。涙目になる権利も文句を言う権利もここでは私にしかないはずだ。泣きはしなかったけど。

「なん、なんなのよアンタ! いくらノボリが好きだからって、普通ここまでする!?」

 ブラコンもここまで来ると病気よ! と私は叫んだ。つまりはこういうことだろう。クダリはノボリが好きで好きで、そりゃあもう執着といってもいいくらいのレベルで愛していて(ラブかライクかは置いておくとして)、そんなノボリがどこの馬の骨かも分からない女(私)にキスをしていたという事実に耐えられなくなり、ノボリの感触や温度は渡さないとばかりに私から奪いに来た。通常では考えられないことも目の前の男はやりかねない雰囲気をその身に潜ませている。

 私の言葉にクダリはきょとんとした顔をして首をかしげた。なにその反応。

 さてどう逃げよう、と何種類か逃走経路を探ってみるがクダリと扉との距離が近すぎて中々に逃走は難しそうだ。流石にこれ以上ここにいたら胃に穴があく恐れがあるので早々にこの場から脱出してノボリに癒してもらいたい限りだ。
 そんな私の願いが通じたのか、なにやら外からどたばたと走っているような音が聞こえたと思ったら扉が思い切り開かれて息を切らしているノボリが入って来た。

様! っクダリィ!!!」

 鬼の形相ってこういうのを言うんだろうか。そう思ってしまうほどすさまじいノボリの咆哮にクダリはあちゃーといった風に一歩後ろへ下がった。

「ノボリっ?」
様! ご無事ですか!?」
「おっ、おおっ、うん大丈夫」

 ノボリは私の姿を確認するや否や一気に私の方へと詰め寄り異常が無いか私の身体をチェックする。べたべたくるくるされた。

「クダリ! 説明してくださいまし!」

 私をその背中に隠してノボリはクダリに向かって叫んだ。話の内容を聞くにクダリはノボリはには絶対に内緒だよ、と駅員さんに言い聞かせてしばらくの間この部屋には誰も入れないようにと命令していたらしい。しかし今日私はサブウェイに行くとノボリに言ってあったし待ち合わせもしていた。約束の時間が過ぎても現われない私となにやらそわそわしている駅員。ノボリはその駅員を問い詰めてクダリが関わっているのならば、とアテを付けて私を探しに来たらしい。その推理はどんぴしゃりだったわけだ。

「べつに説明することなんてなんにもない」

 ノボリの怒りなど日常茶飯事です、と言わんばかりにさらりとクダリは言い放ちノボリからプイと顔をそむけた。

「最近やけに様のことを聞いてくるかと思えばこんなところで二人きりで……、何もないわけないでしょう!」

 最近やけに聞かれてたんだ私……。密室を作りだしたことといい本気で私を亡きものにしようとしていたんならどうしようと今さらながらに冷や汗である。クダリの様子をうかがうと私がノボリに守られているような形になっているのが悔しいのかノボリが自分に対して怒りを向けている原因が私のせいというのがむかつくのかは分からないが、ぶうと頬を膨らませてクダリは「ずるい!」と叫んだ。

「なんでよ!」
の馬鹿! 雌豚!!」

 なんつーことを叫ぶんだこの男ぶっ飛ばすぞ!!
 流石に豚呼ばわりされて黙っている私ではない。しかし私が声を上げる前に反応をした人がいたので今回はそちらに抗議を任せた。

「クダリ! 様になんてことを!! 今すぐ謝りなさい!」
「ぼく間違ったこと言ってないもん! 泥棒猫!」
「行き成り動物が変わってるじゃないですか!」

 白黒の双子の喧嘩は見ていて面白いものがあるので私は特別止めに入らなかったのだが口げんかはどんどんヒートアップしていって仕舞いには二人同時にモンスターボールに手をかけた。

がノボリ好きなようにぼくもノボリが好き。独り占めはずるい!」
「そろそろ兄離れしてくださいまし!」
「二人で楽しそうにしてるのもずるい!」

 ノボリはクダリの愛に気付いているんだろうか。兄の恋人から兄の痕跡を奪い去ろうとするレベルまでいっていることを伝えるべきなのか迷うわあ。
 二人は一回ポケモンを出してここでは狭すぎると気付きまた戻し、再びにらみ合う形となった。もしかしたらクダリはこの部屋の狭さも想定して私をここに連れ込んだのでは。というのは考え過ぎだろうか。
 しかしまあ、兄が横から掻っ攫われて悔しいという気持ちは分かるつもりだ。別に奪ったつもりはなかったのだけれども、それは私側の意見でクダリからすると重大事件だったのかもしれないわけで。だからと言ってここまで好き勝手させるというのも性に合わないというのも確かだ。

「あーもううるさいうるさい! 何を言われようとも、もうノボリは私の男なの!」

 流石に駄々っ子に何時までの付き合うつもりはない。兄弟だからといってプライベートな領域にまで干渉されてはたまったものではないので、それを分からせるためにも手っ取り早く行動に移すことにした。

さ、んむっ」

 ノボリの肩を引き寄せて唇を合わせる。勢いが良すぎて歯がぶつかった。痛くて泣きそうになったが感情が高ぶっていたお陰かそんな無様な姿を見せることはなかった。

「そんで私はノボリのもの!」

 口はしを舐めると鉄の味。先ほど歯が当たったときに切れたらしいが今はどうでもいい。
 そして私の挑発というか意思表明というか、身内のラブシーンという正直見ていて楽しいものではないものを見せられたクダリは先ほどと同じようにぶうと頬を膨らませていかにも不満です、という表情をしていた。

「ていうかアンタノボリに助言してたりしたじゃない!」
「主導権が握れないときが済まないからそれをノボリが奪えばふたりがわかれると思ったんだよ!」
「なんですって!!?」

 そんなことを考えてたんかい! とクダリの言葉の裏に秘められた思いに恐怖するばかりだ。ちなみに言っておくが私はこう見えて支配するのも支配されるのも両方好きなので別にいっつも主導権を握っていなければ気が済まないわけではない。そこらへんはまだまだクダリは勉強不足だ。

「ずるい! 二人のばかっ!!」
「落ち着きなさいませクダリ。いい加減にしないと本気で怒りますよ」

 ノボリは先ほどのキスで落ち着いたらしくなんだか幸せそうに、そして先ほどとは打って変わって冷静にクダリをあやし始めた。それが気にいらなかったのかクダリは最後にとんでもない爆弾を残して部屋から走り去って行った。

とキスしたのはノボリだけじゃないんだから! ばかー!」

 嵐が去った。と一息入れようとしたがそうはいかなかった。

「……」

 あ、やっぱり聞こえちゃってた? うんうん実はねノボリが来る前にクダリにキスされちゃってさあ、まあ嫌がらせのつもりなんだとは思うけどねー。と比較的軽くなんでもなさそうに言ったつもりではあったがノボリの持つ空気は凍ったままであり今にも私も凍りつきたいほどこの部屋の中は寒い。私に対して滅多に怒らない、というか今まで一度も喧嘩をしたことがないからノボリの怒りが分からない私は結構この時点でビクビクしていた。いや全面的に私だけが悪いわけではないんだけどさ! でもここには私しか当たる相手がいないしさ!

「んがっ!」

 口の中に指を突っ込まれた。ちなみに2本。

「キスをされたとおっしゃいましたか」
「っんぐぅ」

 更に深くへと。これでは喋ることもままならない。手袋をはめたままなのでノボリの手袋は私の唾液を吸って体積を増していく。焦ってばしばしとノボリの腕を叩くがそれはなんの効果も得られずにノボリの長い指はぐりぐりと私の口内を動き回りううっそんな奥に入れられたら吐き気がっ。
 ああ、ハイライトの消えた目はそっくり流石双子……。といつも通り真顔ではあるがその身から静かに怒気を立ち昇らせている初めて見るノボリに混乱しながらも私はもうどうしようもなくなる。なん、なのこの兄弟! ヤンデレは一日一人でお腹いっぱいだっての!

 ぐりぐりぐにぐにと私の口の中を自由に動き回る指がだんだんと気持ち良くなってきて目の前がぽわーんとしてきたところでノボリはようやく私の口の中から指を引っこ抜いた。手袋と私の口との間に唾液の線が延びる。私は今浅ましい顔をしているんだろうなってのは分かるが自分ではどうしようもなく、もう立っていられなくなった私はへなへなと床へと座り込む。ノボリが手袋を脱いで、私の顔に手を当てた。いつの間にか私に合わせるようにしゃがんでいたノボリにキスをされる。いつものように軽いものではなく深く濃くしつこく。先ほど負った傷の部分を執拗に舐められてビリビリする。麻痺しているのは傷口だけではないみたいだ。普段からは想像もつかない濃厚なキスにもう私の頭はキャパオーバーだ。短時間に色々とありすぎだろうおい。
 ようやく離れたと思うと今度は抱きしめられた。もう私はいっぱいいっぱいですよ。

「や……やれば、できるんじゃない……」

 息も切れ切れだ。

「……クダリに奪われてしまうのではないかと思いました」

 私の精いっぱいの揶揄のつもりだったがノボリはそれどころではないらしい。いつになく弱気な語尾だ。

「私が?」

 反対じゃないんだろうか。私がノボリをクダリに奪われる。この場合奪うというよりも元に戻すと言うべきなのか……。

「双子というのは自覚が無くともある程度シンクロするものでございます。クダリが様に心を砕いていてもおかしくはありません」
「ええー……まっさかあ……」

 そんな複雑な感情をクダリは隠しきれるのだろうか。と失礼なことを考えながらノボリの背中に手を回してよしよしと宥める。もし本当にそうだとしたら私がされたキスの意味合いも変わってくる。なに、もしかしてノボリへのブラコンの気持ちは本物だけれどもそれを隠れ蓑にしていたってこと? いや、あれは私が勝手にそう思ってただけで、そういえばクダリ舌入れてこようとしたよね私ディープとは一言も言ってないのに。
 ……えええ。複雑怪奇すぎでしょうクダリハート。ううんまだ確証が持てないのでノボリの心配過多ということにしておく。

「あ……すみません様。クダリに触れられたと考えたら体が勝手に動いてしまいまして。……お嫌ではなかったでしょうか」
「え? あ、さっきのキスのこと? いやむしろ気持ちよかったくらいで」

 そういうと見る見る内に真っ赤になる恋人を愛しいと思うのは、はたして恋人の欲目なんだろうか。と考える閉館5分前。


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